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87号(平成24年夏号)


うどん屋さん 代表取締役会長 三原幸二

 酒もタバコもやめてしまったので、食べることが何よりの楽しみになった。旅先や知らない町で、ふらっと入った店でうまい物にぶつかったときの嬉しさは格別である。
 二十数年前、こんなことがあった。
 海外旅行から帰ったとき、無性にうどんが食いたかったので、帰宅途中にうどん屋に立ち寄った。天ぷらうどんを注文したが、一向に来ない。10分たち15分たったが来ない。少しイライラしはじめたころ、ようやく来た。
 ひとくち食べたうどんの旨いこと。だしの絶妙なこと。日本食に飢えていたことを差し引いても、ほんとうにうまかった。
 主人に聞いてみると、麺は手打ちであり、だしは鰹と鯖のけずりぶしと煮干し。それに北海道産の「こんぶ」からとっているようだが、詳しくは極秘。天ぷらも注文をきいてから揚げているという。遅い理由はそれでわかった。
 いっぺんにその店のファンになり、以来ちょこちょこ寄せてもらうようになった。主人とも懇意になり、話をするようになったが、案の定、偏屈で頑固一徹の人であった。
 自分のやっていることにこだわりを持つ人は、むやみに同調しないからそんな風になっていくのかも知れない。
 私は、こんなうまいうどんをほかの人にも食べてもらいたいと思い、支店を出してはどうかとすすめたが、返ってきた答えは「否(いな)」であった。
 「人に任せると、この味は出せない。味の違うものを同じ屋号の店で出すわけにはいかない」
 主人はそう言って、午前11時から夕方5時まで仕込みに費やし、5時から夜中の2時まで営業する。それを開業以来、週一回の定休日をのぞいて続けてきた。「お客さんが来て、営業日なのに休んでいる、そんなことが二回も続くと二度と来てくれなくなる。はやらない店というのは、自分の都合で休んでしまう店がほとんどですよ」と言った。
 それを聞いて、なるほど。われわれ商売人にも通じる話であるなと私は思った。
 
 そんな楽しみな店であったが、やがて仕事にかまけて足が遠くなり、10年ほど前、ひさしぶりに立ち寄ったが、奥さんと息子さんらしい人がおり、主人の姿は見えなかった。亡くなったと聞いて、働き過ぎが原因かもしれないと思った。店はにぎわってはいなかった。
 いまも相変わらず、あちこちでうどんを食べているが、あれ以来、私をうならせてくれるうどん屋には、まだ巡り会えていない。
 年の瀬を迎えると、この主人のことを思い出しますので、つい、こんなことを書いてみました。
  (66号掲載)

・第43回 新春交換会

平成24年1月13日


平成24年度方針
 「半歩前進せよ 洋電社」

・洋栄奥様会

平成24年4月12日〜13日
 長野県 開田温泉

・第35回洋電社オープン

 平成24年6月4日
 伏尾ゴルフ倶楽部